賞概要&徹底比較:直木賞、本屋大賞
本屋大賞は純文学作品も一応は対象の範囲ながら、
TOP10に入ってくるとは大衆文学(エンタメ小説)系ばかりという意味で、
実質的な大衆文学(エンタメ小説)の国内2大文学賞となっている感じがある
「直木賞」と「本屋大賞」の意味や比較情報。
直木賞(直木三十五賞)
こちらは芥川賞と共に1935年に誕生した、歴史と伝統のある賞で、
一般受けの悪い純文学向けの賞である芥川賞に対して、大衆文学を対象にしているため、
世間からの注目度が高いほか、受賞後の単行本の売れ行きもすごいため、
国内最高ランクといって良い文学賞。
[経緯]
文藝春秋社を作った菊池寛氏が友達である直木三十五氏を化を冠した創設された
1935年(昭和10年)スタートの新進・中堅作家によるエンターテインメント小説向けの賞。
既刊の単行本が対象で
1年2回開催され、国内のトップ作家たちから成る10人程度の選考委員が選考。
本屋大賞
本屋大賞は
全国の書店員たちで構成される「NPO法人 本屋大賞実行委員会」という団体が、
出版業界が縮小傾向にある中で、業界を盛り上げるために2004年にスタートした文芸賞。
一番の特徴は芥川賞や直木賞が、
たった数人の大御所の作家(小説家)が選定するものであるのに対し、
こちらは一般消費者に近い立場の全国書店員の投票にて受賞作が決まる賞である点。
そして、「実際に勝った人の口コミ(評判)」が大きく消費に影響を与える時代の中、
一般消費者の一人ともいえる人たちが選んだ
「日本一面白い小説が決まる(はっきりする)文学賞」
として一気に有名になり、
口コミ最高ランクの小説で買うリスクがない、ということで近年では受賞後の売れ行きは直木賞をしのぐ勢い。
受賞のニュースも直木賞と同じくらいの扱われ方をしていて、
たった10年程度で国内最高ランクの文学賞の一つに。
なお、純文学系・エンタメ系といった従来の賞区分はないものの、
純文学小説は基本的に売れにくいのに対し、大衆性の高いエンタメ小説は売れやすい、
といった特徴により、純文学系作品がベスト10に入る場合もあるものの、実質的にはエンタメ小説系の賞となっています。
直木賞と本屋大賞の各種比較
直木賞 (直木三十五賞) |
本屋大賞 | |
スタート | 1935年 | 2004年 |
創設経緯 | 文藝春秋社の創業者が 友人である直木氏の 名前を冠して創設される |
出版不況が続く中、 書店顧客と一番近い位置にいる 書店員が売れる本を作っていく、 業界を盛り上げる流れを作るために 2004年にスタート。 |
選考方法 |
数人の現役作家が 選考委員を務め、 トーナメント方式で 受賞作を決める。 |
書店員1人あたり3作品に投票。 1位=3点 2位=2点 といったようなポイント制で 合計ポイントにより受賞作が決まる。 またベスト10は公式サイトにて 発表されるのが特徴。 |
対象 |
長編or短編集である 新進・中堅作家の エンタメ小説 既刊単行本が対象。 |
既刊本。 とくにジャンルは問わないものの 実質的には純文学よりも 明確に売れやすいエンタメ小説が 対象となっている傾向。 長さには特に制限なし。 別途、翻訳部門もあり。 |
良いところ |
受賞作は 日本を代表する 作家が面白さを認めた作品 であるという点。 |
消費者の一人ともいえる 書店員の投票にて 公平に決まるところ。 |
問題点 |
受賞作は わずか数人の大物作家の 投票によって決まる。 そのため、 作家の個人的な感情が 選考に影響を与える 可能性がある。 例えて言うと、 1度目で受賞されてたまるか、 という感情が絡む可能性もあり。 |
書店員(=販売員)が選ぶ賞である他、 受賞後の売れ行きのすごさが 今後ますます増してくると 出来るだけ単価の高いに 投票しようとする人が 増えてくる恐れも少しあり。 |
開催頻度 |
年2回。 上半期=7月 下半期=翌年1月 |
年1回。 4月に大賞が発表。 |
価値 |
国内最高の価値 | 近年、直木賞と同等の扱い。 受賞後の実売部数の増加度合いは こちらのほうが上ともいわれる。 |
選考者 |
大ベテランも含めて 国内トップの現役作家たち (10人くらい) |
全国の書店員 |
受賞者の 傾向 |
既に有名な国内トップの エンタメ系小説家 |
既に有名な国内トップの エンタメ系小説家 |
話題性 |
Yahooニュースでも トップ報道されるほか、 日本中が注目。 受賞決定後の 本の売れ行きもすごい。 |
直木賞同様に Yahooニューストップ扱い。 そして、こちらも受賞後は 爆発的に売れる傾向。 |
賞金/副賞 |
正賞:懐中時計 副賞:100万円 |
不明 |
一言で言うと どんな賞か |
芥川賞よりもランクが高い 国内最高峰の文学賞 |
消費者の公平な投票により その年の日本一おもしろい エンタメ小説が決定する賞 |
ダブル受賞した作品とは?
2017年に恩田陸「蜜蜂と遠雷」が1月に直木賞を受賞したのち、
4月に本屋大賞を受賞し、13年目にして初めてW受賞作品が誕生。
|
蜜蜂と遠雷 [ 恩田陸 ] |
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